またも期間を空けての投稿になってしまいました。
というのも10月は構築形成が難航し、200戦近くやったものの、とても世に出せるものではない結果に終わっていたのです。
ただ、数をこなしたお陰で構築・環境に関する知見を深めることができ、今シーズンはギリ納得できる結果が出せました。
この記事から何らかの“可能性”を感じ取ってもらえれば幸いです。
11/30の夜時点では500位くらいだったんですけど、「もうちょっとだけ上へ…」って欲出したら負けまくって1,500位くらいまで転落して、午前3時まで発狂しながらリカバリしてました。
☆構築コンセプト☆
- レギュHでも通用する雪パの探求
- 耐性・特性による受けが効きやすい取り巻きを揃え、雪パの脆さをカバー
1.構築内容
2.構築の経緯
9世代に入ってからほとんどのレギュレーションで雪パを使ってきたため、現在のレギュレーションHでも通用する雪パを模索したい、という所からシーズン23(10月)より構築をスタート。
雪パにする利点は、
- 氷タイプのBが1.5倍になる
- ふぶきが必中になる
- 特性ゆきかきで超高速アタッカーが作れる
の3点。1は誰をエースにしても共通事項なので割愛。まずは②に着目し、強いふぶきアタッカーを探したものの際だって強いアタッカーが思いつけず、消去法的に③で進めていくことになりました。
利点を考えると共に、当然弱点についても考えなくてはなりません。雪パの弱点とは何かと言えば、まず「弱点被りを避けられない」という点が挙げられます。
基本的に天候パは、天候起動を特性に任せます(なお、禁止級伝説はここから除きます)。9世代では特性ゆきふらしのポケモンはユキノオーとAキュウコンの2体のこおりタイプ。そして雪の恩恵を受けられるのはこおりタイプのポケモンに限られます。つまり、この時点で構築内でこおりタイプの重複が避けられません。
他の天候パはどうでしょうか。晴れは特性ようりょくその草アタッカー・特性こだいかっせいのポケモン達の存在により、全く苦労せずタイプ重複を避けられます。雨パはみず被りを避けられませんでしたが、ブリジュラスの登場により重複を許容できるようになりました。砂パは重複を避けるためにハカドッグがしばしば採用されていましたが、それに加えドリュウズの解禁によりさらに楽かつ強く重複を避けられるようになりました。
このようにタイプ重複の観点でほぼ一人負けに等しい雪パですが、重複しているこおりタイプが相性的にレギュHで立ち位置が悪いということも大きく響きます。こおりタイプの弱点はほのお・はがね・いわ・かくとうの4つ。この4つはガオガエン・サーフゴー・ブリジュラス・ドドゲザン・オオニューラ…とランクマでの採用率10位以内に常に居座っていて、1匹も採用していない構築が珍しいくらいのメジャーポケモンの属するタイプです。
この2点が合わさり、「雪パは基本選出が相性不利を避けがたい」という重い弱点になってしまっています。そのため、自分は構築しながら上記4つの弱点タイプをなるべく受けられる・崩せるよう取り巻きを決めていくことにしました。
まずエースアタッカーの選定から。特性ゆきかきのアタッカーは、ツンベアー・ハルクジラ・アローラサンドパンの3体が択になります。このうちアローラサンドパンは特化してもA実数値が167と非常に心もとないため一旦却下し、ツンベアーかハルクジラを選ぶことに。
この2体は技範囲がほぼ共通(こおり・じめん・かくとう)で、A実数値も、性格補正ありハルクジラ≑性格補正なしツンベアーなので、攻撃面ではさほど違いがありません。その上で今回はハルクジラを選びました。理由は以下の2点です。
1.S種族値による抜き範囲の違い
ツンベアーが50族と鈍足なのに対し、ハルクジラは73族と見た目の割にちょっと速いです。この差によってハルクジラだけが抜ける相手として、最速スカーフコノヨザル、準速スカーフガブリアスが存在します。
ガブリアスも無論強いですが、最速スカーフいのちがけコノヨザルはこちらの大事にしたいポケモンを問答無用で破壊する非常に面倒なポケモン。それを上から体力を削ることで脅威度を下げられるのは、大変強い差別化点です。
2.タイプ一致技の命中率の違い
ツンベアーはつららおとし、ハルクジラはアイススピナーがタイプ一致のメイン技となります。つららおとしは威力が5勝り怯みの追加効果で運ゲーも仕掛けられるものの、命中率が90なので10%の確率で威力が0になります。
回数を重ねるランクマッチでは、上振れを期待するより下振れ要素を可能な限り排除したい派なので、威力と運より命中を取りました。
次に考えるのがゆきふらし要員ですが、現環境でユキノオーを採用する理由が特に思いつかなかったので、アローラキュウコン(以下Aキュウコン)を選びました。
残り4体を欲しい要素と、耐性のバランスを考えた結果以下の構築が出来上がりました。
いわタイプだけは厳しいものの、それ以外のほのお・はがね・かくとうタイプには半減以下を2体以上採用しました。
最初は異常に強く、勝率8割順位100位台前半と絶好調だったのですが、環境の変遷についていけずもう巻き返せないところまで下降。結果を次のシーズン(11月)に託すことにして残りは研究に費やすことにしました。
Aキュウコンミラーに強いサンドパン軸や、マッチングしたゲッコウガ軸やフロストロトム軸をコピーして試したりしながら、以下の要素への対策が必須だと整理できました。
- 耐性面からドラゴン枠・みず枠・ほのお枠から最低2体は必要
- おいかぜが必要
- 寿司構築への対策は切れない
- サーフゴーが突出して重い
これらを踏まえ、シーズン24初期で組んだのが以下の構築。
勝ち負けトントンくらいで2,000位台くらいから上がれないので、30戦ほどこなしたあたりで一旦対戦で取っていたデータをチェック。「対ブリジュラス」「対寿司構築」が出来そうなおいかぜ要員として採用した、がむしゃらタイカイデンを出した試合の勝率が極端に低かったため、外して組み直しをすることにしました。
まずタイカイデンに近い役割を担えるポケモンとして、代わりにくろいきり+おいかぜ持ちカイリューを採用。
それに伴い特殊打点がすごく乏しくなることと、ドラゴン被りを避けたいため、ガブリアスを外して別の特殊アタッカーに変えることに。耐性補強と相手のAキュウコンの処理に困っていたため、はがねタイプが最適と考えサーフゴーを採用。
続けてトリル対策枠のヤバソチャですがゴースト複合な都合上、対オオニューラがじごくづきを持っている可能性を考えると安定して投げられなかったため、より投げやすいモロバレルに変更。
以上の3枠を変更してしばらく回していたのですが、ダイケンキがチョッキ込みでも耐久が足りず役割遂行できないことに気づいてしまい、耐久が足りるガオガエンに変更して完成しました。
それぞれの役割を簡潔にまとめると、
:構築コンセプト
:ほのお耐性、環境メタ
:はがね耐性
:環境メタ、クッション、横サポート
:ほのお・はがね耐性、クッション、横サポート
となっています。
やっぱり「環境読みをする⇒構築を決める」が王道で、「構築を決める⇒環境に合わせる」という逆算である今回の構築実験は厳しい道のりでした。
2ヶ月に渡るトライが幸いにも無駄にならなくて、本当に良かったです。
3.個別解説
ハルクジラ
特性:ゆきかき
持ち物:いのちのたま
技:アイススピナー/じしん/ばかぢから/まもる
性格:いじっぱり
努力値:0-252-62-0-0-196
実数値:245-181-93-*-75-118
テラスタイプ:じめん
ゆきかき発動時、最速スカーフコノヨザル抜き
A特化、残りB
構築の根幹。
雪さえ降っていれば、ものすごい早さから結構痛いダメージの出る、氷+地面+格闘の受けづらい範囲を押しつけられる…という実は悪くないカタログスペックを有するポケモン。
具体的な役割対象はあたり。
耐久面もBD種族値は65・55と低いですが、170もあるH種族値によって十分タフで、物理方面は雪込みで一致等倍3発・抜群1発くらい、特殊方面は等倍1発くらいを目安に耐えてくれます。
環境に一切存在しないゆえにこういった耐久ラインや技範囲での縛りがばれにくいのも強みなので、ある程度強気に動かしていました。
火力が及第点ギリギリなのでいかくを貰うと影響が大きいことと、上記のタフさから後投げすることが多かったです。
技は範囲の広いアイススピナー+じしんに、高威力・命中安定で信頼できる、かつ構築単位で苦手なドドゲザンとブリジュラスへの打点として使えるばかぢからを採用しました。
持ち物のいのちのたまと、テラスタイプのじめんはサーフゴー意識です。これらを合わせることでH92振り(実数値174)までのサーフゴーをダブル補正込みじしんで確1をとることが出来ます。
ただ、テラスタイプをかくとうにするとあくテラスを切ったドドゲザンや赫月ガチグマをばかぢからで確1にすることが出来るので、テラスタイプは悩みどころでした。最終的にはでんじはやエレキネットによる素早さ操作が嫌なこともありじめんに決めましたが、赫月ガチグマ入り構築に全然勝てなかったので、ベストチョイスだったかどうかは悩みどころ。
キュウコン(アローラのすがた)
特性:ゆきふらし
持ち物:とけないこおり
技:ふぶき/フリーズドライ/アンコール/まもる
性格:おくびょう
努力値:4-0-0-252-0-252
実数値:149-*-95-133-120-177
テラスタイプ:ゴースト
構築の根幹その2。技構成と持ち物がコロコロ変更し続けていました。
最初はふぶき/ムーンフォース/オーロラベール/まもる、だったのですがサイクルや積みでない本構築では壁の恩恵が薄いと感じ、オーロラベール⇒かなしばり、ひかりのねんど⇒とけないこおりに変更。
かなしばりが上手く扱えなかったのでかなしばり⇒アンコールに変更。とけないこおりが全体的な特殊打点の低さを補うための持ち物だったのですが、だったらいっそ眼鏡型でもいいのでは?と思い立ち、ふぶき/ムーンフォース/テラバースト/フリーズドライ@拘り眼鏡のほのおテラスを試しました。火力は期待したほどでは無く、アンコールで相手を縛る方が勝ちに繋がると感じたため、↑の型に落ち着きました。
テラスタルはねこだましやしんそくよる縛りを避けるためのゴーストにしました。とはいえAキュウコンの強みの半分くらいはこおり/フェアリーというタイプ構成に依っているので、ほんの数回しか切らなかったです。
カイリュー
特性:マルチスケイル
持ち物:いかさまダイス
技:スケイルショット/じだんだ/くろいきり/おいかぜ
性格:いじっぱり
努力値:118-236-0-0-0-156
実数値:181-202-115-*-120-120
テラスタイプ:はがね
S:準速ペリッパー抜き+スケショ後最速イッカネズミ抜き
Hある程度確保しつつ残りA
ほのおやじめん耐性、おいかぜ、寿司やビルドコノヨザル対策のくろいきり、十分な火力と欲しい要素を全部兼ね揃えながら、特性により行動保証の付いた文句の出ようのないバランサー。
ガオガエンが絶対に重くなる構築の構造的問題の解答として、最初は特性せいしんりょくで採用していたのですが、過大気味な役割をこなすのにマルチスケイルの行動保証はやはり欠かせませんでした。
技は採用理由であるおいかぜ・くろいきり、縛りの無い最大打点であるスケイルショットは確定として、最後の1枠が3つ択がありました。まず相手のAキュウコンへの打点となりかつテラスすれば一致打点になるアイアンヘッド、続けて構築単位で重いアシレーヌへのメタとしてかみなりパンチ、最後にはがねやじめんへの打点となるじだんだです。最終的にはやはりはがね・ほのおへの打点を優先してじだんだを確定としました。
テラスタイプはドラゴン・フェアリーからの縛りを解除しながら、スケショのデメリットであるBダウンを逆手に取られづらい(逆手の例:グラススライダー、しんそく)はがねを選びました。
サーフゴー
特性:おうごんのからだ
持ち物:きあいのタスキ
技:ゴールドラッシュ/シャドーボール/パワージェム/まもる
性格:ひかえめ
努力値:4-0-0-252-0-252
実数値:163-*-115-203-111-136
テラスタイプ:はがね
火力があるはがねタイプの特殊アタッカーという条件で絞り込んだ結果、自然と入りました。
最初は一般的な拘りスカーフトリック型で運用していたのですが、構築にまもる持ちが少なくなってしまったため拘りアイテムでない型を探したところ、前期の上位構築にいたタスキサーフゴーが使い勝手が良さそうだったので取り入れました。とてもいい使用感でした。性格補正だけS補正⇒C補正に変えました。C補正のメリットは相手のサーフゴーをシャドボで確1とれるところにあります
技構成は定番の3技と、パワージェムを採用しました。言わずもがなほのおタイプへの打点です。ガオガエンに削りを入れ速やかに落とすのに貢献したほか、何体ものウルガモスを闇討ちして勝利に貢献してくれました。
テラスタイプは打点補強のためにはがねを選んだのですが、受けテラスのみずの方が良かったかなぁと思う場面も散見されたので、こちらも悩みどころ。
モロバレル
特性:さいせいりょく
持ち物:おんみつマント
技:クリアスモッグ/かふんだんご/キノコのほうし/いかりのこな
性格:のんき
努力値:236-0-150-0-124-0
実数値:219-*-119-105-116-45
テラスタイプ:ほのお
H:さいせいりょく効率のいい3n調整
HD:C+1ブリジュラスのりゅうせいぐん確耐え
残りB
対トリックルーム妨害枠。テラス草グレンアルマ以外のトリル構築には、遺憾なくその性能を発揮してくれました。
テラスタイプほのおと持ち物おんみつマントは、特にガエンポリ2ガチグマ構築を意識して採用しました。目論見通り構築の機能を阻害してくれました。
S:同族抜き抜き
A:H252振りゴリランダーをフレアドライブで確1
残りB>D配分
ピーキーなヒスイダイケンキの代打として、丸くて便利な万能薬的ポジションで加入しました。
ヒスイダイケンキは、ほのおタイプやサーフゴー、ドドゲザン、ブリジュラスなどと雪パの重くなる相手に高打点を持てるので理論上は最高の補完枠と思っていたのですが、いかんせん耐久が足りず受け補完が出来ませんでした(眼鏡サーフゴーのゴールドラッシュで、チョッキ込みでも97.6%の超高乱数で確2)。
技や持ち物、テラスタイプについては一般的なので説明は割愛。Aに厚めに振っているのは、構築内に既にAキュウコンとモロバレルの2体のサポーター指向ポケモンがおり、これ以上サポーター指向のポケモンを増やすと相手への圧が薄まると考えたためです。
4.選出
ハルクジラを除く5体が汎用性があり、あまり選出パターンを固定しなかったので、回数と勝率の良かった選出パターンだけ書いておきます。
①先発+後発
ゆきかき雪の本領発揮パターン。後発からはガオガエンが手堅く受けに回ったり、ハルクジラが取りこぼした相手をサーフゴーが襷を盾にスイープしたりします。
②先発+後発
ハルクジラが出せない時のパターン。ガオガエンで護衛しながらサーフゴーを動かしてある程度荒らし、後発のキュウコンとカイリューで詰め切ります。
③先発+後発
相手にいかく持ちがいる時、基本的に対ガオガエン想定のパターン。いったんいかくを受けてからカイリューをハルクジラにバックしてゆきかき雪にスイッチングします。その後のイメージは①パターンのサーフゴーの役割を代わりにカイリューにこなしてもらうイメージ。
5.苦手な相手
弱点を突けるのがキュウコンとモロバレルしかおらず中々落とせないのに、範囲高火力技でガンガン圧をかけられるのが苦しい。
はがねテラスを切ってくれるとハルクジラで落とす目が出てくるので、なるべく切ってくれるよう誘導したいところ。
天候を取られるだけでも苦しいのに、構築6体中5体が一致弱点を突かれるという天敵みたいな存在。横のドリュウズも同様に弱点を突いてくるので対砂パは最も苦手な対面です。ガオガエンのいかくで攪乱してどうにか勝負になるかどうか。
●マタドガス(原種)
意外な落とし穴。攻撃面(ゆきかき)も耐久面(いかく、マルチスケイル、雪によるB上昇)も特性に依存しているため、マタドガス+ケッキングのコンビになす術がありません。
ガラルマタドガスだったら襷サーフゴーでワンチャンあるのですが、原種は本当にどうしようもありません。
6.おわりに
見込んだマイナーポケモンを活躍させてあげるのは、やっぱり楽しかったです。
ハルクジラ、そして対戦していただいた方々に万感の感謝を。
一応レンタルも置いておきます。