実は自分は3月中ずっと、テツノイワオの構築を研究していました。
なぜか。
同時に疑似準伝枠として実装されたテツノカシラ、タケルライコ、ウガツホムラ。これらのポケモンははっきりと強く、多くの結果を残しています。一方テツノイワオは?全然見かけません。その本質が自分には気になりました。使われていなさすぎて「使用率相当に弱い」「食わず嫌いされているだけで弱くはない」どちらかなのが分からなかったのです。
疑問に決着を付けたい。その一心で割けるだけの時間を割いてテツノイワオと向き合い、構築を練り続けました。まずその結果を見て貰いたいと思います。
ダメでした。大惨敗を喫しました。ショックであったことは隠せません。
しかし後悔はしていません。「テツノイワオは弱い」、この結論を至ったことで疑問への回答は得られたからです。
以下、向き合った1プレイヤーとして、結論から得たテツノイワオの本質を書き残します。
テツノイワオの強み
まずどんなポケモンでも、独自の強みがなければ採用には至れません。独自の強みがないなら、種族値という基礎ステータスに差があるゲームである以上、種族値が上のポケモンの劣化品にしかなれないからです。
具体例としてドーブルとケンタロスをあげてみましょう。2体は全く同じノーマル単タイプで、種族値だけならドーブルはケンタロスに全て劣っています。ドーブルは専用技スケッチでどんな技も使えますが、もしケンタロスと全く同じ技で揃えてしまったら、果たしてドーブルを対戦で使う意味はあるでしょうか?当然、より高いダメージが与えられて、より少ない被ダメージに抑えられるケンタロスを使うのが勝敗を争う対戦ゲームでは最適解になるので、ドーブルを選ぶのは不正解を選んでいることと同義になります。なのでドーブルは専用技スケッチでどんな技も使えるという独自の強みを駆使して、ケンタロスとは違う役割の最適解を担うことが求められる、ということです。
ではテツノイワオ独自の強みとは何になるでしょうか?9世代唯一のいわ/エスパーというタイプ構成、特性クォークチャージ、いくつかテツノイワオの独自性はありますが、”強み”とまで言える要素は、専用技のパワフルエッジであると自分は結論づけました。
パワフルエッジ
タイプ:いわ
威力:95
命中率:100
効果:相手の『まもる』『みきり』『たたみがえし』『トーチカ』『キングシールド』『ニードルガード』『ブロッキング』『スレッドトラップ』『かえんのまもり』の効果を受けない。
(引用元:ポケモン徹底攻略 様)
物理岩タイプとしては唯一の命中100の高火力技、かつダブルで重要視される要素である「まもるを駆使した縛りの解除」を無視できる、という高性能の専用技です。これほどの威力を持ちながら守る状態を無視して殴れるポケモンは、他にウーラオスしかいません。そしてウーラオスとは物理アタッカーである以外に共通点は無いので、ウーラオスの存在がテツノイワオを不正解にしてしまうことはありません。
以上のことを踏まえ最適解として自分が使ったのが、下記の拘り鉢巻テラス岩テツノイワオとなります。
実際に使った型
回避率上昇以外では受けるしかない、というパワフルエッジの性質に着目し、受けるダメージが最大になるよう火力盛れる要素全てを積みました。
テラスタルを切った状態でどこまで火力が出るかというと
- H4振り化身ランドロス:111.5~132.1%で確1
- 水オーガポン:H252振り&B28振りまで確1
- H4振りウネルミナモ:104~123.4%で確1
中程度の耐久ポケモンなら一撃で破壊。これが守れない状態で飛んでくると考えると、十分脅威になるでしょう。
他の技はタイプ一致のしねんのずつき、範囲技のじしん、なんとなくでんこうせっかを採用しました。しねんをテツノカイナに打つ以外はほとんどパワフルエッジだけ打っていました。
テツノイワオの弱み
強みは技。では弱みは?結論から申し上げれば他の要素全部です。
①絶望的なタイプ相性の悪さ
1番分かりやすく、そして1番の致命傷がまずこの点。タイプ相性を確認してみましょう。
- 抜群:はがね、ゴースト、むし、じめん、あく、くさ、みず
- 半減:ほのお、どく、ひこう、エスパー、ノーマル
…弱点が多すぎる!同じタイプでも、特性でじめん無効なルナトーンより弱いってマ?
でも数が多いのがダメな訳ではないのです。例えばバンギラスなんか、同じく弱点7つ抱えてても長らく環境に居ましたよね。本当の問題は、その弱点が環境でどういう立ち位置にいるかです。
各弱点タイプを代表するポケモンを、パッと思いつく分だけリストアップしてみます。
はがね:
ゴースト:
むし:(思いつきませんでした)
じめん:
あく:
くさ:
みず:
ここからだけ選んでも構築が成立しそうなくらい、環境トップメタ級が勢揃い。一方半減を見てみるとよく飛んでくるのは、ほのおとノーマルあたりでしょう。ではこの2タイプのよく見るポケモンはというと、
ほのお:
ノーマル:
ご覧の通り、弱点を付いてくる環境トップメタ級ばかりなのです。これらのことはイコール「ハンデを背負った状態から対戦を始める」と同義なんですね。なにせ相手からしたら、その気になればすぐにテツノイワオを落として簡単に数的有利を取れる訳なので。
この不利タイプも有利タイプも環境級ばかりという環境がどれほど厳しいか、よく分かる対比として同タイプのルナトーンの活躍(↓の記事、剣盾環境です)があげられます。
上述のテツノイワオ不利対面で当時からいたのは、あたり。当時はあく・じめん・ゴースト・みずなどは選手層が薄く、そもそもそれらのタイプから攻撃される機会が少なかったのです。
しかもこの世代はダイジェット環境であり、くさ・かくとうは選出が裏目になる場合も多く、さらにじめん無効ひこう半減&4倍弱点のれいとうビームを打てるためは有利対面。よって↑の5体の中で本当に対面しやすく苦手なのはだけであり、実は環境トップメタ級にガチガチに不利ではなくて、それゆえにタイプ相性の見かけ以上に出しても損が無くハンデではなかったのです。
正直、今ルナトーンが使えても、テツノイワオと同じように構築の重しにしかならないでしょう。それほどに今の環境はいわとエスパーに向かい風なのです。本当に生まれてきた世代が悪いとしか言い様がありません。
②絶妙に足りない数値
種族値もパッと見は悪く感じませんが、こちらも環境との噛み合いの悪さに直面します。
まずA種族値は120,特化実数値が189です。ここは悪くないのですが、問題はSを下げざるを得ない点にあります。S種族値は124。これも見かけ上悪くないのですが、補正無しの準速時の実数値は176。これは最速オーガポン・最速アローラキュウコン
・最速ウネルミナモ等、環境に一定数いて役割を持ちたい対象のちょうど1,2下回る数値です。
では抜かれたくないとS補正をかけると、強みとして述べた破壊力を失い「一応上から殴ってくるけど別に大した負荷の無い奴」に成り下がってしまいます。こやついる?いやいらない。
耐久面も噛み合っていません。種族値はH90・B80・D108と特殊方面ならちょっと耐久期待できるかというラインですが、①でずらっと並べた天敵達はかなり物理に寄っています。つまり耐えに期待するのも難しいのです。
③活きない強み
そして最後に、そもそも強みとして見ていたパワフルエッジが強くなかった、というより根本的な問題がありました。
パワフルエッジは守る状態を貫通するのが強み、と述べましたが、現環境はまもるの使用率が低いのです。多くの構築がやスカーフ持ちら高速&高火力でまもるを挟まずから殴りつけて相手を崩すプランを採用しているし、そうでないポケモンは高耐久&テラスタルによる弱点ずらしでまもるを挟まず受けて返す動きを多用します。
こうなってくると残るパワフルエッジの強みは高火力命中安定の岩技、という点に絞られますが、現環境ではわざわざ岩で殴らないといけない相手(剣盾ではリザードンがいました)がいないので、格別高い評価点を上げることは出来ません。
タイプ弱・種族値不足・独自の強み無し。テツノイワオには何も無い、ゆえに弱い。これが自分の結論です。
最後に
いざさらば、テツノイワオ。